室内で供試体(30cm×30cm×5cm)を作製後に供試体の密度を測定します。その後60℃の恒温室で養生を行い試験を行います。この試験方法は実際の車両の走行状態を再現するように供試体上面をゴムの車輪で荷重を加え、その車輪を左右に走らせることで、どの程度供試体が流動したかを測定します。
– アスファルト試験
– アルカリ骨材反応性試験
– 鋼材試験
– 骨材試験
– コンクリート試験
– 土質試験
– コンクリート練混ぜ水試験
– その他
アスファルト混合物事前審査制度
アスファルト混合物事前審査制度とは
この制度は、公共工事(北陸地方整備局、新潟県、富山県、石川県、新潟市)に使用するアスファルト混合物の品質確保と品質管理業務の合理化を図るために実施しております。
事前審査制度のメリット
事前審査制度を活用することで、工事発注者・工事施工者・混合物製造業者のそれぞれについて以下のメリットがあります。
■監督職員が工事毎に行う、混合物の品質管理に関する承認行為の省力化。
■混合物の承認申請書類の作成及びチェック作業の省力化。
■試験練り立会いの省略。
■混合物の各種試験の省略。
■提出書類作成事務の省力化。
■確実な自主管理による混合物の品質向上。
審査対象混合物
事前審査制度の審査対象混合物は以下の通りとなります。
混合物名 | 混合物種類番号 | |||
再生 | 改質 | 再生+改質 | ストアス | |
アスファルト安定処理(25) | [ 1 ] | |||
粗粒度アスファルト混合物(20) | [ 2 ] | |||
密粒度アスファルト混合物(20F)A | [ 3 ] | [ 4 ] | ||
密粒度アスファルト混合物(新20FH) | [ 5 ] | [ 6 ] | [ 7 ] | |
密粒度アスファルト混合物(13) | [ 8 ] | |||
密粒度アスファルト混合物(13F)A | [ 9 ] | [ 10 ] | ||
密粒度アスファルト混合物(13F)B | [ 9 ] | |||
密粒度アスファルト混合物(13FH) | [ 11 ] | [ 12 ] | ||
細粒度アスファルト混合物(5F) | [ 13 ] | |||
細粒度アスファルト混合物(13F) | [ 14 ] | |||
開粒度アスファルト混合物(13) | [ 15 ] |
引用・参考文献:「アスファルト混合物事前審査制度パンフ」
アスファルト混合物事前審査委員会事務局(国土交通省 北陸地方整備局 北陸技術事務所)
※ 混合物の「H」は北陸型混合物
※ 混合物名の「A」は富山・石川県型混合物
※ 混合物名の「B」及び⑦⑫は新潟県型混合物
※ 混合物名の「新」は改良型混合物
※ 再生:再生骨材を配合した混合物
※ 改質:ポリマー改質アスファルト等を使用した混合物
※ 再生+改質:改質Ⅰ型に再生材(10%以下)を配合した混合物
※ ストアス:ストレートアスファルト(60~50)混合物
認定書の有効期間は6月1日から翌年の5月31日までの1年間となります。
ホイールトラッキング試験
目的
高温時における加熱アスファルト混合物の耐流動性を評価する指標である動的安定度(DS)をホイールトラッキング試験機を用いて測定します。
試験方法
【 耐流動性を向上させるには 】
通常のアスファルト混合物の耐流動性を向上させる場合、一般的に改質材(樹脂入り)を加えた改質アスファルト混合物を使用します。改質材の添加方法は2通りあり、プレミックス(ストレートアスファルトに改質材を添加したもの)とプラントミックス(アスファルトプラントで改質材を添加したもの)があります。
【 動的安定度(DS)とは 】
供試体が1mm変形するのに必要な車輪の通過回数を表します。
規格値 ⇒ ■ 舗装計画交通量が3000(台/日)未満:1,500(回/mm) ■ 舗装計画交通量が3000(台/日)以上:3,000(回/mm)
アスファルト舗装の試験
舗装材料の試験法は舗装調査・試験法便覧に規定されており、アスファルト混合物の密度試験はB008-1,2に規定されています。
現場密度の測定(アスファルト混合物の密度試験)
現場密度の測定(アスファルト混合物の密度試験)は、施工されたアスファルト舗装の締固め度(どれだけ締固めてあるか)を確認する試験です。締固め度は、耐久性や強度に影響を及ぼします。試験に使用する供試体は、施工されたアスファルト舗装道路から円柱状にくり抜きます。
締固め度(%)=見掛密度÷基準密度
見掛密度(g/cm²)とは:施工されたアスファルト舗装道路から円柱にくり抜いた供試体の密度。
基準密度(g/cm²)とは:アスファルトプラントにおいて、配合設計から求めた基準となる密度。
アスファルト道路の起源
アスファルトが初めて舗装に使われた道路は、紀元前600年ごろの古代メソポタミア文明の中心都市バビロンの道路であると言われています。日本で最初のアスファルトを用いた舗装は、明治11年(1878年)東京神田の昌平橋で施工された橋面舗装で、秋田産の土瀝青(天然アスファルト)が使用されました。
アスファルト混合物の試験
マーシャル安定度試験
アスファルト混合物には”強度”(安定度)と”たわみ性”(フロー)の相反する特性をバランス良く持ち合わせることが要求されます。円筒形に成形した供試体の側面を円弧形の2枚の載荷板ではさみ加重を加え、供試体が破壊した際の最大荷重が安定度、それに対応する変形量がフロー値となります。フロー値からは以下のことが読み取れます。
■フロー値:大きい → 流動しやすい
■フロー値:小さい → もろくてクラックが入りやすい
抽出試験
アスファルト混合物に含まれるアスファルトの量が多すぎるとわだち掘れが発生して供用性が低下したり、少なすぎると舗装にひび割れが発生して耐久性が低下します。また、使用した骨材の粒度が設計時と異なった場合も同様の問題が発生します。この様なことが起こらないようにアスファルト混合物を調べる方法がアスファルト抽出試験です。アスファルト混合物に含まれるアスファルト分を溶剤で溶かし分離すると砂利や砂だけが残ります。最初にあったアスファルト混合物の質量と最後に残った砂利や砂の質量から使用されているアスファルトの量を測定したり、残った砂利や砂をふるいにかけて粒度を調べたりします。
アスファルト混合物の種類と特徴について
舗装工事の場合、コンクリート舗装とアスファルト舗装がありますが、一般的にアスファルト舗装が多く使用されています。今回は、この多く使用されているアスファルト混合物の種類・適用箇所・特徴を紹介致します。
1.アスファルト混合物の種類について
新潟県が公共工事に使用するアスファルト混合物は以下の通りとなります。
①瀝青安定処理(25)
②粗粒度アスコン(20)
⑤密粒度アスコン(新20FH)
⑥密粒度アスコン(新20FH)改質Ⅱ型
⑦密粒度アスコン(新20FH)改質Ⅰ型
⑧密粒度アスコン(13)
⑨密粒度アスコン(13F)B
⑪密粒度アスコン(13FH)改質Ⅱ型
⑫密粒度アスコン(13FH)改質Ⅰ型
⑬細粒度アスコン(5F)
⑭細粒度アスコン(13F)
⑮開粒度アスコン(13)
新潟県ではあらかじめ「アスファルト混合物事前審査」で認定された混合物の使用が
原則となっています。
2.アスファルト混合物の適用箇所について
アスファルト混合物の適用箇所は以下の通りとなります。
3.アスファルト混合物の特徴について
アスファルト混合物の特徴については以下の事が言われております。
・( )の数値は最大粒径を、Fはフィラーを多く使用している事をしめしています。
また、Hは耐摩耗性を考慮した北陸型合材となっています。
・それぞれの混合物の一般的な性質は以下の通りです。
⑨密粒度アスコン(13F)B ・・・・・ 耐摩耗性に優れています。
⑤ ⑥ ⑦密粒度アスコン(新20FH) / ⑪ ⑫ 密粒度アスコン(13FH) ・・・・・ 耐摩耗性に加え、すべり抵抗性と耐流動性にも優れています。
アルカリシリカ反応性試験(化学法)
試験の目的
アルカリシリカ反応とは、コンクリート用骨材中に含まれる反応性シリカ(二酸化けい素,SiO2)とコンクリート中に含まれるアルカリ(Na+,K+など)が反応することによって生じた生成物が雨水などを吸水して膨張し、コンクリートに“ひび割れ”などの劣化を生じさせる現象です。この現象を生じさせる骨材であるかを判定するための試験が、「アルカリシリカ反応性試験」です。
試験の方法
骨材を粉砕し300~150μmに粒群調整した試料に、1mol/L水酸化ナトリウム標準液を加え、80℃の恒温水槽中で24時間反応させ、これを吸引ろ過して試料原液とします。続いて、試料原液から分取し水を加えた希釈溶液を用いてアルカリ濃度減少量(Rc)と溶解シリカ量(Sc)の定量操作を行います。
1. アルカリ濃度減少量(Rc)の定量
フェノールフタレイン指示薬で紅色となった試料に0.05mol/L塩酸標準液を加えて、無色となった時の滴定量を測定します。
2. 溶解シリカ量(Sc)の定量
アセチレン・酸化二窒素の高温フレーム中に試料溶液を噴霧させて吸光度を測定します。
※溶解シリカ量の定量方法には、「質量法」・「原子吸光光度法」・「吸光光度法」があります。
骨材のアルカリシリカ反応性の判定
a.溶解シリカ量(Sc)が10mmol/L以上で、アルカリ濃度減少量(Rc)が700mmol/L未満の範囲では
■溶解シリカ量(Sc) < アルカリ濃度減少量(Rc) … その骨材は“無害”と判定される。
■溶解シリカ量(Sc) ≧ アルカリ濃度減少量(Rc) … その骨材は“無害でない”と判定される。
b.溶解シリカ量(Sc)が10mmol/L未満で、アルカリ濃度減少量(Rc)が700mmol/L未満の場合では … その骨材は“無害”と判定される。
c.アルカリ濃度減少量(Rc)が700mmol/L以上の場合では … 判定はしない。
引用・参考文献:日本工業規格 JIS A 1145:2007
アルカリシリカ反応性試験(モルタルバー法)
試験の目的
アルカリシリカ反応とは、コンクリート用骨材中に含まれる反応性シリカ(二酸化けい素,SiO2)とコンクリート中に含まれるアルカリ(Na+,K+など)が反応することによって生じた生成物が雨水などを吸水して膨張し、コンクリートに“ひび割れ”などの劣化を生じさせる現象です。この現象を生じさせる骨材であるかを判定する試験法が2通りあり、本試験の通り実際にモルタルを作製するモルタルバー法と、溶解シリカ量(Sc)とアルカリ濃度減少量(Rc)を求める化学法があります。
試験の方法
骨材を粉砕し2.36mm・1.18mm・600μm・300μm・150μmに粒群調整した試料を表乾状態に調整します。質量比でセメント1、水0.5、骨材2.25の配合割合でモルタル供試体(モルタルバー)を作製します。作製した供試体を温度40±2℃、湿度95%以上で所定の材齢(最長26週)まで養生を行い、供試体の長さ変化から平均膨張率を求めます。
1. 長さ変化率の測定状況
脱型時、2、4、8、13、および26週ごとにモルタルバーの長さ変化を測定し平均膨張率を求めます。
2. 供試体の表面の状況
「無害でない」と判定される場合は、多くの場合、供試体にひび割れが発生します。
骨材のアルカリシリカ反応性の判定
供試体3本の平均膨張率について
■材齢26週後に0.100%未満の場合 … その骨材は“無害”と判定される。
■材齢26週後に0.100%以上の場合 … その骨材は“無害でない”と判定される。
※材齢13週で0.050%以上の膨張を示した場合は … その時点で“無害でない”としてもよい。
なお、“無害でない”と判定された場合は、アルカリシリカ反応抑制対策を適用しなければならない。
引用・参考文献:日本工業規格 JISA1146:2007
鋼材試験[2]~金属材料の曲げ試験~
鉄筋コンクリート用の鋼材の規格は、JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)に規定されており、機械的性質についてはJIS Z 2241(金属材料の引張り試験方法)、JIS Z2248(金属材料の曲げ試験方法)により、それぞれ試験方法が規定されています。
今回はこのうちの「金属材料の曲げ試験方法」を紹介します。
金属材料の曲げ試験
曲げ試験は、曲げ加工を行うとき、または曲げ応力が働いたとき、表面および内部の欠陥が現れるか否かを試験するもので、材料の加工性を試験する最も簡便な方法です。
曲げ試験は、鋼材を既定の半径で既定の角度になるまで曲げて、さけきず、その他の欠点の有無を調べます。
異形棒鋼の種類
鉄筋コンクリート用棒鋼は、降伏点等の違いによる種類があり、用途により使い分けされていますが、“圧延マーク”により容易に見分けることが可能です。
(製造業者名と寸法の外に、種類による突起が印されている。)
SD295A:なし
SD295B:1 または |
SD345:突起の数1個( • )
SD390:突起の数2個( • • )
SD490:突起の数3個( • • • )
鉄筋コンクリートの起源
世界最初の鉄筋コンクリートは、1867年、フランスの植木職人モニエが、セメントで植木鉢を作る際、針金で補強したのが始まりと言われています。
鋼材試験[1]~金属材料の引張り試験~
コンクリートは、圧縮する力に対する強さに比べて、引張る力に対する強さがきわめて小さく、1/10程度しかありません。このためコンクリート構造物を造る場合は、引張られる部分を補強する必要があります。そこで、補強する材料として使われているのが鋼材です。
〈 鋼材がコンクリートの補強材として適しているのはナゼ? 〉
理由1. コンクリートは圧縮に強いが、引張りに弱い。
理由2. 鋼材は引張りに強いが、圧縮に弱い。
理由3. コンクリートはアルカリ性であり、内部の鉄筋が錆びない。
理由4. コンクリートと鋼材の熱膨張係数がほぼ等しい。
理由5. 鋼材は熱に弱いが、コンクリートは断熱性が大きいため、鉄筋を保護する。
以上のような理由から、コンクリートと鋼材それぞれの特徴を生かして出来ているのが「鉄筋コンクリート」です。
鉄筋コンクリート用の鋼材の規格は、JIS G3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)に規定されており、機械的性質についてはJIS Z2241(金属材料の引張り試験方法)、JIS Z2248(金属材料の曲げ試験方法)により、それぞれ試験方法が規定されています。
今回はこのうちの「金属材料の引張り試験方法」を紹介します。
金属材料の引張り試験
鋼材を両端から一定の速度で引っ張り、
その材料の引張りに対する強度を確認する試験です。
試験結果では以下を報告します。
1)上降伏点
2)引張り強さ
3)伸び(破断時のひずみ)
4)破断位置
【 継ぎ手の強さも「引張り試験」で確認します 】
大きな構造物に使う鋼材は、継ぎ足して長くして使います。継ぎ足す部分を「継ぎ手」と呼び、写真のようなガス圧接・機械継ぎ手・フレア溶接などの種類があります。この継ぎ手の強さも「引張り試験」で確認します。
粗骨材の密度及び吸水率試験(JIS A 1110)
目的
粗骨材の密度及び吸水率試験では、表乾密度・絶乾密度・吸水率を求めることができます。コンクリートの配合(調合)設計を行う場合に表乾密度を用い、またコンクリート用骨材として使用の適否を判定する際には絶乾密度ならびに吸水率を用います。
試験の手順
- 4.75㎜ふるいにとどまる試料を採取し、水洗い後に吸水させる。
- 吸水性の布で目で見える水膜をふき取り、表乾状態とする。
- 表乾質量を計量する。
- 水中質量を計量する。
- 絶乾質量を計量する。
結果の利用
コンクリート用骨材として使用の適否を判定する際に、絶乾密度及び吸水率の結果が利用されます。
材料 | 絶乾密度(g/㎤) | 吸水率(%) | 規格 | 備考 |
砂利 | 2.5以上 (2.4以上) |
3.0以下 (4.0以下) |
JIS A 5308 附属書A |
・購入者の承認を得て、(2.4以上)とすることができる ・購入者の承認を得て、(4.0以下)とすることができる |
砕石 | 2.5以上 | 3.0以下 | JIS A 5005 | - |
【 密度と他の性状の相関性について 】
密度が大きいほど骨材内部の空隙率が小さく、吸水率も少なくなる傾向があります。吸水率の少ない骨材は強硬で耐久性が高くなります。
密度 大 ⇒ 吸水率 小 / 密度 大 ⇒ 耐摩耗性 大 / 密度 大 ⇒ 耐冷害性 大
骨材に含まれる微粒分量と粘土塊量
骨材の微粒分量試験とは
この試験は洗い試験と呼ばれ、水中で骨材を手で激しくかき回し、骨材中に含まれる0.075mmふるいを通過する微粒分(粘土・シルト)の量を測定するものです。微粒分が一定量を超えるとコンクリート圧縮強度の低下、単位水量の増加、乾燥収縮の増加、レイタンス量の増加、凝結時間の変化などコンクリートに有害となります。
骨材中に含まれる粘土塊量の試験とは
この試験は微粒分量試験後の骨材を24時間吸水させ、膨潤し軟化して指で砕くことができる粘土塊の量を測定するものです。なお、細骨材は1.2mm、粗骨材は5mmふるいにとどまるものを試験試料とします。粘土塊を砕いた後は細骨材0.6mm、粗骨材2.5mmふるいの上で水洗いします。粘土塊が一定量を超えると微粒分量と同様に有害に作用します。
骨材の品質がもたらす影響
コンクリートを構成する主な材料は、セメント、水、骨材(細骨材・粗骨材)です。それらが占める体積の割合は、図のように空気+セメントが約1割、水が2割, 骨材が7割となっています。従って、体積の半数以上を占める骨材の品質はコンクリートに大きな影響を及ぼす重要な要素といえます。
骨材の品質規定
項目 | 粗骨材 | 細骨材 |
微粒分量(%) | 1.0以下 | 3.0以下 |
粘土塊量(%) | 0.25以下 | 1.0以下 |
骨材の単位容積質量及び実積率試験(JIS A 1104)
試験の目的
骨材の単位容積質量とは、1m³の容器に詰めた、かさ容積の質量をいいます。また、質量をかさ容積に換算するときにも必要な値となります。実積率とは、粗骨材(砂利)又は細骨材(砂)を、1m³の容器に詰めたときに容器中(骨材と空気)の何%を骨材が占めているか、その容器の体積に対する百分率をいいます。この単位容積質量と実積率は、コンクリートの配合(調合)を決めたり、生コン工場や建設現場などで骨材を計量する際に必要となります。
試験方法
単位容積質量は、骨材の密度や粒度に影響されることはもちろん、締め固めの程度や含水量の程度にも左右されます。
【 棒突き試験方法 】
試料を容器の1/3まで入れ、上面を指でならし、突き棒で均等に所要の回数を突きます。このとき、突き棒の先端が容器の底に強く当たらないように注意します。突く回数は骨材の最大寸法に応じて決まります。次に、容器の2/3まで試料を入れ、前と同様の回数を突き、最後に容器からあふれるまで試料を入れ前回と同様の回数を突きます。
【 ジッキング試験方法 】
容器をコンクリート床のような強固で水平な床の上に置き、試料をほぼ等しい3層に分けて詰めます。各層ごとに容器の片側を約5cm持ち上げて床をたたくように落下させます。次に反対側を約5cm持ち上げ落下させ、各側を交互に25回、全体で50回落下させます。
【 骨材表面のならし方 】
細骨材の場合は、突き棒を定規として余分な試料をかきとり、容器の上面に沿ってならします。粗骨材の場合は、骨材の表面を指又は定規でならし、容器の上面から粗骨材粒の突起が、上面からのへこみと同じくらいになるようにします。
引用・参考文献:技報堂出版株式会社「コンクリートの知識」
骨材のふるい分け試験(JIS A 1102)
試験の目的
骨材のふるい分け試験(JIS A 1102)は、骨材(細骨材・粗骨材)の規格に合った標準網ふるいを用いてふるい分け、粒度分布を求めて、各種骨材として適当かどうかを判定するために行われます。また、コンクリ-トの配調合設計に必要な粗粒率や骨材の最大寸法を求めるための試験でもあります。
試料のサンプリング(最大寸法40mm以下の場合)
試料は代表的なものを採取し、4分法または試料分取器によって、ほぼ所定量となるまでこれを縮分して、乾燥してから使用します。
【 細骨材 】1.2mmふるいに5%(質量比)以上とどまるもの500g
【 粗骨材 】最大寸法20mm程度の場合4kg
試験方法(レディーミクストコンクリート用骨材の場合)
【 細骨材のふるい分け試験 】呼び寸法0.15,0.3,0.6,1.2,2.5,5および10mmの標準網ふるい
【 粗骨材のふるい分け試験 】呼び寸法2.5,5,10,15,20,25,30,40および50mmの標準網ふるい
ふるい分けは、ふるいに上下動および水平動を与えて試料をゆり動かし、1分間に各ふるいを通過するものが、全試料質量の0.1%以下となるまで行います。機械を用いてふるい分けた場合には、さらに手でふるい分け、1分間に各ふるい通過量が上記の値より小となったことを確かめます。
図中②は粒度範囲外となった骨材のためレディーミクストコンクリート用砕石として使用できません。
細骨材の密度及び吸水率試験(JIS A 1109)
目的
骨材の密度及び吸水率を求めることを目的とします。密度は、コンクリートの配合設計に必要不可欠な指標となります。一方、吸水率は、コンクリートの強度発現性や耐久性に影響を及ぼします。
試験方法
1. 試料の準備(表乾状態:表面乾燥飽水状態)
2. 密度試験
3. 吸水率試験
結果の利用
コンクリート用骨材として使用の適否を判定する際に、密度及び吸水率の値が利用されます。
材料 | 絶乾密度(g/㎤) | 吸水率(%) | 規格 | 備考 |
砂 | 2.5以上 (2.4以上) |
3.5以下 (4.0以下) |
JISA5308 附属書A |
・購入者の承認を得て、(2.4以上)とすることができる ・購入者の承認を得て、(4.0以下)とすることができる |
砕砂 | 2.5以上 | 3.0以下 | JISA5005 | - |
細骨材の有機不純物試験
良い品質のコンクリートを経済的に得るため、使用する骨材に求められる品質の一つとして、不純物を一定量以上含まないことがあげられます。コンクリート用の骨材において不純物といわれる物は、フミン酸やタンニン酸に代表される「有機物」、石炭・亜炭等の「密度の小さな物」、粒径の極小さな「微粒分」、粘土の塊である「粘土塊」などがあげられます。
今回は、この内の「有機物」の有無を判定する方法である『細骨材の有機不純物試験(JIS A 1105)』を紹介します。
風乾状態(自然乾燥状態)にした試料を、容量で125mLとり、3%に調整した水酸化ナトリム溶液を200mLまで加えます。水酸化ナトリム溶液を加えてから24時間経過後に標準色と比較して、色の濃淡で判定します。溶液の色が標準色と「同じ」又は「淡い」と判定されればコンクリート用骨材として使用でき、反対に「濃い」と判定されるとコンクリート用骨材としては使用できないこととなります。ただし「濃い」と判定された骨材でも、『有機不純物を含む細骨材のモルタルの圧縮強度による試験方法(JIS A1142)』により、モルタルを作成し圧縮強度を確認して問題が無いと判定されれば使用することも可能です。
コンクリートに使用する細骨材中に有機物が多く含まれていると、セメントの水和反応を阻害し、凝結時間の遅延や硬化を妨げることになり、最終的に構造物の強度や耐久性を低下させることになります。
骨材の塩化物量試験とは
一般的に硬化したコンクリート中にある鉄筋は錆びにくく、構造物を内部から支える重要な骨組みとなっています。しかし、コンクリート中に一定量以上の塩分が存在すると、鉄筋が錆びて構造物に悪い影響を与えてしまいます。そのため、塩分量の管理は重要な項目となっています。コンクリート中の塩分は、大きく分けて外からの塩分と元々あった塩分の2つに分けられます。この元々材料に含まれる塩分の内、骨材に含まれている塩分を測定する方法が、骨材の塩化物量試験(JISA5002)です。なお、この試験は細骨材のみに適用されます。細骨材に塩分を含まない水(蒸留水等)を加え、24時間抽出します。その後、その上澄水(又は濾過した水)を取り、硝酸銀を加えその中に含まれる塩化物イオンの量を測定します。硝酸銀に含まれる銀イオンが塩化物イオンと素早く結びつく性質を利用した硝酸銀滴定と呼ばれる手法です。
塩分による構造物中の鉄筋の腐食
外からの塩分は海風に乗って運ばれてくる飛来塩分や凍結防止剤散布などが考えられ、構造物の表面に付着し、徐々に内部に浸透してやがて鉄筋のある場所まで到達すると、鉄筋の腐食が始まります。一方、元々あった塩分とは生コンクリートの材料(骨材)に付着している塩分の事で、生コンクリート製造時にコンクリート中に取り込まれます。よって外からの塩分よりも早く鉄筋のある場所に到達するため、鉄筋の腐食が早く進みます。
骨材の安定性試験とは
過酷な気象条件に対して耐えうるコンクリートを作るためには、コンクリートの配合条件のほかに、骨材も気象条件に対する耐久性(耐凍害性)が必要となります。この骨材の耐凍害性を評価する方法として硫酸ナトリウムによる骨材の安定性試験(JIS A 1122)が一般に採用されています。骨材に含まれる水が凍結する際に作用する膨張圧を硫酸ナトリウムの結晶圧で与えることにより、骨材の凍結融解に対する抵抗性を測定するものです。骨材を硫酸ナトリウム飽和溶液中に16〜18時間浸漬した後、1時間に40±10℃の割合で上げ105±5℃の温度で4〜6時間乾燥する操作を5回繰り返し、硫酸塩の結晶圧の作用により骨材粒を破損させてその損失質量百分率を求めるものです。
骨材はコンクリート容積の65〜80%を占め、その性質の良否はコンクリートの性質に大きく影響します。従って、耐凍害性が劣る骨材をコンクリートに使用すると、骨材の崩壊に起因するコンクリートの劣化が生じます。また、吸水率の大きい軟石を用いたコンクリートでは、凍結時に骨材自身が膨張し、表面のモルタルをはじき出すポップアウトを生じる場合があります。
骨材のすりへり減量とは
ロサンゼルス試験機と呼ばれる鋼製のドラムに鋼球と骨材を一緒に入れて回転させ、骨材が鋼球と衝突して小さくなった量(すりへり損失量)を測定するもので骨材の耐摩耗性を評価します。
アスファルト混合物と路盤材、コンクリートに用いられる骨材(砕石)は堅硬かつ強靭であることが必要とされ、この評価方法としてロサンゼルス試験方法(JIS A 1121)が一般に採用されています。一般にすりへり減量の多い骨材(砕石)は、比較的柔らかい軟岩や多孔質の軽石等が該当し、混合物(アスファルト及びコンクリート)に使用した場合、耐久性の低下により補修頻度の増加、骨材の飛散による石はね等、道路環境の悪化を招くこととなります。
すりへり減量(%)=試験により損失した試料質量÷試験前の試料質量×100
新潟県土木工事に使用される骨材・砕石のすりへり減量の基準
用途 | すりへり減量(%) |
アスファルト混合物(表層・基層) | 30以下 |
上層路盤・下層路盤(RC-40) | 50以下 |
コンクリート用(骨材・砕石) | 40以下 |
割ぐり石(見掛比重・吸水率)について (JIS A 5006)
1. 割ぐり石とは
割ぐり石とは、岩石を人工的に割って作られる、比較的大きい石材のことを言い、割栗石とも書き、また単に割ぐりと言うこともあります。
2. 使用用途
主に河川や港湾関係の工事で用いられ、捨石を使用した防波堤、ケーソンの基礎材料、袋型根固め工法の中詰材に割ぐり石が用いられます。
3. 品質
割ぐり石の品質は、JIS A 5006により圧縮強さ・吸水率・見掛比重を求めることで硬石・準硬石・軟石の3種類に区分することが出来ます。
・石材の大きさは 岩石>割ぐり石>砕石 になります。
・新潟県土木工事標準仕様書のぐり石では、「玉石または割ぐり石で20㎝以下の小さいものとし、主に基礎・裏込ぐり石に用いるもの。」となっています。
4. 試験手順
今回は、割ぐり石の見掛比重及び吸水率試験を紹介します。試験体は大きさ10×10×20㎝の直方体で行います。
コンクリートの圧縮・曲げ・引張強度
コンクリートの圧縮強度とは
円柱状のコンクリート供試体へ荷重を鉛直方向に加える状態を圧縮と呼び、この圧縮荷重に対してコンクリートが破壊されるまでに試験機の示した最大荷重(N)を供試体の断面積(㎟)で除した値が圧縮強度(N/㎟)になります。コンクリートの圧縮強度の単位は(N/㎟:ニュートン毎平方ミリメートル)で表します。例として18N/㎟ では1㎠当たり約180kgの圧縮荷重に耐えられることになります。
コンクリートの曲げ強度とは
角柱状のコンクリート供試体(15×15×53cm又は10×10×40cm)へ3等分点載荷を行い、コンクリートが破壊されるまでに試験機の示した最大荷重(N)×スパン(mm)を破壊断面幅(mm)×破壊断面高さ(mm)の二乗で除した値が曲げ強度(N/㎟)になります。
コンクリートの引張強度とは
円柱状のコンクリート供試体を横に置き荷重を鉛直方向に加え、この圧縮荷重に対してコンクリートが破壊されるまでに試験機の示した最大荷重(N)×2をπ×供試体直径(mm)×供試体長さ(mm)で除した値が引張強度(N/㎟)になります。
強度比
コンクリートは圧縮強度に強い反面、曲げや引張強度はその1/5~1/13程度と言われています。そのため、鉄筋を配しコンクリートを補強します。
強度の品質規定
- 1回の試験結果は、購入者が指定した呼び強度の85%以上でなければならない。
- 3回の試験結果の平均値は、購入者が指定した呼び強度以上でなければならない。
コンクリートの静弾性係数試験
試験の目的
■工事開始前のコンクリートの評価
日本建築学会のJASS5(鉄筋コンクリート工事)では、一般建築構造物において、コンクリートのヤング係数(静弾性係数)は規定値の範囲にあることが求められています。(静弾性係数の小さいコンクリートを建物に使用すると、床に“たわみ”の発生する危険性が高くなります。)
■コンクリートの劣化の評価
アルカリシリカ反応等の劣化が進むと静弾性係数が小さくなることから、劣化の程度を推定するために行います。
弾性と塑性
物質の性質には、力を加えて変形させ、その力を取り除いたとき、ゴムやバネのように元に戻る性質(弾性)と、粘土のように元には戻らない性質(塑性)があります。
コンクリートの静弾性係数
コンクリートの場合は、「弾性」と「塑性」が混在しているため、「応力」と「ひずみ」の関係をグラフで表すと、下図のようになります。JISでは最大荷重の 1/3 に相当する「応力」と「ひずみ」から静弾性係数を求めるよう、規定されています。
土の構成及び状態
土の状態を表す緒量とは
土は水分が多いとドロドロの状態に、少ないとサラサラ又はカチカチの状態となります。また、締まり具合やすき間(間隙)の大小で硬さや圧縮性が大きく変化します。このような土の状態は、図1に示すように水の含み具合、締まり具合、すき間の量に依存します。土は、図2に示すように土粒子(個体)、水(液体)、空気(気体)の3成分より構成されており、その体積、質量の構成割合から次式のように土の状態を表す緒量を数量化して表しています。
各試験方法の概略(新潟県建設技術センターの場合)
土の含水比試験〔JIS A 1203〕 | 含水比(w)は、土粒子の質量に対する間隙に含まれる水の質量の割合を百分率で表したものです。(炉乾燥法は恒温乾燥炉を使用して、(110±5)℃の炉乾燥によって水を蒸発させて求める方法です。) |
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土粒子の密度試験〔JIS A 1202〕 | 土粒子の密度(ρs)は、土粒子部分のみの単位体積質量です。土粒子質量は炉乾燥して求め、その体積はピクノメーターを用いて同体積の水の質量を測定することで求めます。 |
土の湿潤密度試験〔JIS A 1225〕 | 湿潤密度(ρt)は、土全体の単位体積質量であり、自立する塊状の土を対象とし、その体積と質量を測定して求めます。(ノギス法は、円柱形に作製した供試体の寸法をノギスで直接測定して体積を求める方法です。) |
試験結果の利用例
土の含水比試験 | 1. 同一の土質でも含水比の高低で土の力学的性質が大きく異なってくるため、施工の品質管理上、最も基本的な試験となります。 |
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土粒子の密度試験 | 1. 土の粒度試験(沈降分析)における土粒子径(d)の計算に用います。 2. 土の状態を表す間隙比(e)、飽和度(Sr)の計算に用います。 3. 締固め試験におけるゼロ空気間隙曲線を描くのに用います。 |
土の湿潤密度試験 | 1. 土の湿潤密度(ρt)は間隙に含まれる水分量によって変化する値であり、斜面の安定・土圧・支持力等の計算に用います。 2. 乾燥密度(ρd)は、水分量を除いた密度であり、土の締まり具合を判定する場合に用います。 |
地盤材料の工学的分類
目的
地盤材料は、粒度分布や含水比等の性状に応じて土の性質(物理的・力学的性質)が変化します。実際の現場では、地盤材料の試験を実施することで土の性質を把握することが出来ますが、設計・施工の計画段階では物理試験結果から過去のデータに基づいて力学的性質を推定することが必要となります。この手法として、地盤材料の工学的分類があり、これに従った分類名によって地盤材料の工学的な特性についての共通の認識が可能となります。
分類を行う上で必要な試験項目
1. JIS A 1204 土の粒度試験を実施し以下の表の礫分・砂分・細粒分の割合を求めます。
2. JIS A 1205 土の液性限界・塑性限界試験を実施し液性限界・塑性限界・塑性指数を求めます。
分類方法
1. 土の粒度試験結果から求められた礫分・砂分・細粒分を図1の三角座標による分類にプロットすることで記号が決まります。
2. 土の液性限界・塑性限界試験の結果より図2に示す塑性図より横軸に液性限界、縦軸に塑性指数をプロットすることで記号が決まります。
土の液性限界・塑性限界試験が実施出来た場合、細粒分を表す記号Fが以下の記号に置き換わります。
G(礫)・G-S(砂まじり礫)・GS(砂質礫)の場合、細粒分が少ないので地下排水溝、排水層、サンドマットに活用出来ます。
土の液性限界・塑性限界試験
目的
土が塑性体状から液体状に移る境界の含水比である液性限界WLと、土が塑性体状から半固体状に移る境界の含水比である塑性限界Wpを求めます。また、両者の値から塑性指数Ipを求めます。
試験方法
1. 液性限界試験:含水比調整した試料(4~6個)を黄銅皿に入れ、厚さが約1cmになるよう整え中央部で溝を切り、1cmの高さから1秒間に2回の割合で落下させます。二分された溝の底部が約1.5cm合流したときの個々の落下回数と含水比を求め、25回に相当する含水比が液性限界となります。
2. 塑性限界試験:液性限界試験で用いた試料の塊を、ガラス板上で手のひらで転がしながら直径3mmのひも状にした時、切れぎれになるときの含水比が塑性限界となります。
結果の利用
試験によって得られた液性限界WLと塑性限界Wpおよび塑性指数Ipより、路盤材料の品質規格の判定や、土の相対的な硬さの推定などに利用されます。
塑性指数Ipの高い材料は、水の影響によって支持力低下をまねくため、「舗装施工便覧」では、上記の値と定められています。
【 粘性土の相対的な硬さと安定度 】
自然含水比Wnが塑性限界Wpに近ければ、硬くて圧縮強度が大きい。逆に、Wnが液性限界WLに近ければ、液状の軟らかい不安定な状態を表しています。
【 NP(Non-Plastic:非塑性) 】
液性限界試験で試料に溝が切れない場合。塑性限界試験で直径3mmのひも状にならない場合をNPと表しています。
土懸濁液のpH試験(JGS 0211)
pH試験の概要
pHとは、中性では7、酸性では7より小さく、アルカリ性では7より大きな値となり、「酸性」「アルカリ性」の度合いを示す尺度となります。土のpH特性によっては、構築されるコンクリート構造物の劣化や鋼材の腐食、軟弱地盤では安定処理等の土質改良効果に影響を及ぼします。また、植物の生育や施肥にも関連するため、土のpHを事前に知る事は必要に応じて対応策の検討を行う上でも大変重要です。土を対象とするpH試験では、試料に一定の質量比で蒸留水を加えた懸濁液について測定します。
試験方法
土のpH試験は、精度が高いなどの長所があるため、ガラス電極式pH計を用いたガラス電極法が広く利用され、結果の利用方法によって(1)(2)どちらかの試験方法にて測定します。
結果の評価(目安)
《H2O法による測定結果》
・pH5.6~6.8の範囲が望ましい。1)
《H2O2法による測定結果》
・pH4.5以上であれば問題ない。1)
・pH3.5以下は「酸性硫酸塩土」と見られる。2)
造成地や水田、トンネルなどの掘削土の中にはパイライト(硫化鉄:FeS2)が含まれている場合があります。この場合、掘削直後では正常な土壌酸度を示しますが、大気中の酸素に触れ時間とともに酸性化が進み植物の生育が出来ないほどの極酸性を示すようになるものがあります。(酸性硫酸塩土と呼ぶ)このような土は、長期的に構造物や植生に大きな被害を与えることがあるので、将来どの程度まで酸性化するか予測する上で「H2O2法」は有用です。
引用・参考文献:1)北陸地域の緑化研究委員会 「北陸の緑化技術指針」 / 2)(一社)地盤工学会 「地盤材料試験の方法と解説」
締固めた土のコーン指数試験
目的
地盤の強さを調べることで、建設機械の走行性(トラフィカビリティー)の判定をすることが可能です。また建設発生土や改良土等の強さを調べることで、建設発生土の区分を判定することが可能です。
試験方法
1. JIS A 1210の突固め方法の2.5kgランマーと10㎝モールドによって供試体を作製する。
2. 供試体上端面の中央にコーンペネトロメーターを鉛直に立て、1㎝/sの速度で貫入させ、コーンの先端から5㎝、7.5㎝及び10㎝貫入したときの荷重計の読みから、それぞれの貫入抵抗力(コーン指数)を求める。
コーン指数の結果より、建設機械の走行性の判定ならびに建設発生土や改良土の区分を以下の表より読みとることが出来ます。
表-1 建設機械の走行に必要なコーン指数「道路土工 土質調査指針」より抜粋
建設機械の種類 | コーン指数(kN/㎡) |
超湿地ブルドーザ | 200以上 |
湿地ブルドーザ | 300以上 |
中型普通ブルドーザ | 500以上 |
大型普通ブルドーザ | 700以上 |
スクレープドーザ | 600以上(湿地形は400以上) |
被けん引式スクレーバ | 700以上 |
モータスクレーバ | 1000以上 |
ダンプトラック | 1200以上 |
表-2 建設発生土および建設汚泥とコーン指数の関係「セメント系固化材による地盤改良マニュアル」より抜粋
第1種 建設発生土 |
第2種 建設発生土 |
第3種 建設発生土 |
第4種 建設発生土 |
泥土 |
固結強度が高く礫、砂状を呈するもの | コーン指数 | |||
800kN/㎡以上 | 400kN/㎡以上 | 200kN/㎡以上 | 200kN/㎡未満 |
コーン指数1200kN/㎡以上でダンプトラックの走行が可能です。
土の透水試験(JIS A 1218)
透水試験の概要
堤防や道路、アースダム、埋立地などの造成物において、盛土や埋戻しの材料として使用する土の性質を知る事は大変重要です。土の性質のうち、土中における水の移動のしやすさを土の透水性と呼んでいますが、この土の透水性を知るために行う試験が「土の透水試験」です。土の透水試験では、土を締固めた供試体を作製して「透水係数κ(m/s)」を求め、その土で造成した地盤の透水性、浸透水量を推定することなどに利用します。
試験方法
透水試験には以下の二通りの方法があり、土の種類によってどちらかを適用して試験を実施します。
結果の目安
求められた透水係数κ(m/s)と土質の相関は以下のようになります。
透水係数とは、土中の水の流れやすさを示したもので、値が大きいほど水が流れやすいことを示します。
砂置換法による土の密度試験 Pickup![現場密度の測定]
現場密度とは
道路・河川・ダム・空港・鉄道のほか宅地など原位置における単位体積当たりの質量のことを「現場密度」といいます。
試験方法
工事現場等の原地盤において、円筒状に試験孔を掘り、試験孔から掘り出した土砂の質量を測定します。次に、試験孔に標準砂(密度が既知の砂)を充填して、その充填に要した標準砂の質量と密度から試験孔の体積を求めます。そして、試験孔の体積と掘り出した土砂の質量から原地盤の「現場密度」を求めます。
結果の利用方法
本試験で求められた現場密度は盛土工事現場等の締固め管理において、土の締固め度合いの指標となる「締固め度(%)」の合否判定に利用されています。また、空気間隙率又は飽和度を用いた締固め管理においても、本試験で求められた「現場密度」が利用されます。
砂置換法による土の密度試験(現場密度の測定試験)(JIS A 1214)
乾燥密度(g/㎤)とは、湿潤密度から掘り出した土の含水率分を除した密度〔現場密度〕
基準密度(g/㎤)とは、室内の締固め試験から得られた最大乾燥密度
締固め度(%)とは、盛土等における土の締固めの度合い示す指標
締固め度(%)=乾燥密度(g/㎤)÷基準密度(g/㎤)×100
土の一軸圧縮試験
主な目的
- 自然地盤の強度や、化学的処理によって改良を加えた土(改良土)の強度を求めます。
- 構造物が構築された直後の即時沈下(土の変形のしやすさ)を推定します。
試験方法
円柱状に成形した供試体へ側方への膨らみを許しながら、供試体が破壊するまで徐々に圧縮荷重を加えるものです。試験より得られる値は、加えた荷重を面積で除した「応力」と、軸方向に生じる変位を高さで除した「ひずみ」となります。
結果の利用
試験によって得られた「応力」と「ひずみ」の関係を「応力−ひずみ曲線」に表し、応力の最大値を「一軸圧縮強さ qu(kN/m2)」と呼びます。また、一軸圧縮強さの1/2における点と原点0を結んだ直線の傾きを「変形係数E50(MN/m2)」と呼び、土の変形のしやすさを表します。
土の締固めとは
CBR値には路床を対象とした「設計CBR値」と、路盤を対象とした「修正CBR値」の2種類があり、目的によって使い分けます。
同じ土を同じ様に締固めても、締まり具合は土の含水比(湿り具合)によって違います。含水比を変えて締固め、それぞれの乾燥密度を図にすると、左の様な曲線を示します。最も乾燥密度が高くなる含水比を最適含水比と呼び、その時の密度を最大乾燥密度と呼びます。この値は、現場で土を締固める時の目標値(管理値)となります。
ゼロ空気間隙曲線は、土を締固めるとき空気を全て追いだすことができた(土と水のみで満たされている状態)と仮定した場合の各含水比において、理論上とりうる最大の乾燥密度を示した曲線です。
最適含水比(wopt)は強度・支持力、透水係数等、土の工学的特性に関係しています。
「設計CBR」と「修正CBR」の違いとは
CBR値には路床を対象とした「設計CBR値」と、路盤を対象とした「修正CBR値」の2種類があり、目的によって使い分けます。
設計CBRとは
路床土について求めます。設計CBR値によってアスファルト舗装の厚さを設計します。路床を盛土で構築する場合は「土取り場の試料」を、現地の土をそのまま使用する場合は「現地での採取土」を自然含水比にて試験を行います。なお、舗装厚さの設計は設計CBRと交通量の区分に応じて、等値換算厚(TA)を用いて決定します。
目標とする舗装の厚さ(TA)の一例(信頼性90%)
舗装計画交通量250≦T<1,000(台/日・方向)
※ TAとは、路盤もすべて表層基層用加熱アスファルト混合物で構築したときの厚さをいいます。
※ 信頼性とは舗装が設定された設計期間を通して破壊しない確からしさを信頼性といいます。
修正CBRとは
路盤材料について求めます。修正CBR値によって材料に所定の強さがあるか判断します。材料を締固め試験で求めた最適含水比に調整して試験を行います。一般的に安全を考慮して最大乾燥密度の95%のCBR値を修正CBR値としています。
『CBR試験』のご案内
アスファルト舗装は、「アスファルト(表・基層)」と「路盤(上・下層)」と呼ばれる砕石から構成されています。
また、舗装下約1mの土の部分を「路床」といいます。「CBR試験」は、路盤材料と路床材料について試験を行います。
『CBR試験』とは
アメリカで考案された試験方法で、締め固めた砕石(クラッシャーラン)に鉄の棒(ピストン)を押し込み、ある一定量押し込んだ時の荷重強さをCBR=100%としました。押し込む力が2倍になればCBR=200%となり、半分になればCBR=50%となります。
CBRは、California Bearing Ratioの略で日本語では”路床土支持力比”と訳されます。1928年頃からカリフォルニア州高速道路部のO.J.Porterさんが考案した試験で、1942年頃にアメリカ陸軍工兵隊で軍用飛行場の舗装のために採用されたのが始まりの様です。多くの代表的な砕石を試験してその平均をCBR=100%とされました。
レディーミクトコンクリートの練混ぜに用いる水[1]~化学試験~
目的
コンクリートを製造する場合には水が必要不可欠となります。その水の中にコンクリートの凝結や硬化に悪影響を及ぼす有害物(懸濁物質の量・溶解性蒸発残留物の量)や、鋼材を腐食させるような有害物(塩化物イオン(Cl-)の量)が含まれていないかを調べる試験です。この試験は新潟県土木工事標準仕様書の吹付工ならびに現場吹付法枠工でも実施の対象となっております。
試験方法
今回は、化学分析によって練混ぜ水に有害物が含まれているかを測定する3項目を紹介します。
1. 懸濁物質の量
ガラス製ろ過器の中にろ紙を敷き、試験試料200mLを全量ろ過し、ろ紙に留まった残分を求めます。
[1]の懸濁物質の量とは、水に溶けない固体物質の量を調べます。
2. 溶解性蒸発残留物の量
(1)で懸濁物質を除去したろ過液100mLを磁製蒸発皿に移し、水分を蒸発させて残ったものを求めます。
[2]の溶解性蒸発残留物の量とは、水に溶けた物質の量を調べます。
3. 塩化物イオン(Cl-)の量
試験試料100mLをビーカーに取り、自動電位差滴定装置を用いて試料中に含まれる塩化物イオンの量を求めます。
【規格値について】
■ 懸濁物質の量:2g/L以下
■ 溶解性蒸発残留物の量:1g/L以下
■ 塩化物イオン(Cl-)の量:200mg/L以下
レディーミクトコンクリートの練混ぜに用いる水[2]~物理試験~
目的
コンクリートを製造する場合には水が必要不可欠となります。その水の中に油分、酸類、塩類、その他の有害物を含んでいるとセメントの水和を阻害し、コンクリートの硬化に悪影響を及ぼします。『セメントの凝結時間の差の試験』ならびに『モルタルの圧縮強さの比の試験』は、物理的に試験を行い、硬化時間や強度に悪影響が無いかを調べる試験です。この試験は新潟県土木工事標準仕様書の吹付工ならびに現場吹付法枠工でも実施の対象となっております。
試験方法
今回は、物理試験によって練混ぜ水が凝結や強度に悪影響を及ぼしていないかを測定する2項目を紹介します。
1. セメントの凝結時間の差
基準水ならびに練混ぜ水を用いてセメントペーストを作製しペースト容器に詰めます。ビカー針装置に始発針を装着し、始発時間を測定します。その後、終結針を装着し終結時間を測定します。基準水で作製したペーストと、練混ぜ水で作製したペーストの時間の差を求めます。
【 基準水とは 】
蒸留水、イオン交換樹脂で精製した水、上水道水のことを言います。
2. モルタルの圧縮強さの比
基準水ならびに練混ぜ水を用いてモルタルを作製し、4㎝×4㎝×16㎝の型枠を用いて試験用供試体を作製します。20±2℃で養生を行い、材齢7日及び材齢28日に圧縮試験を実施します。基準水で作製した供試体の圧縮強さに対して、練混ぜ水で作製した供試体の圧縮強さの比がどの程度かを求めます。
【 規格値について 】
■ セメントの凝結時間の差:始発は30分以内。終結は60分以内。
■ モルタルの圧縮強さの比:材齢7日及び材齢28日で90%以上。
※いずれも基準水との比較となります。
「JNLA」とは
JNLAとは、Japan National Laboratory Accreditation systemの 略称であり、工業標準化法(JIS法)に基づく試験事業者登録制度です。この登録制度は、国際標準化機構等が定めた試験所に関する基準(ISO/ IEC17025)の要求事項に適合しているか、独立行政法人製品評価技術 基盤機構認定センター(IAJapan)が審査を行い試験事業者を登録する制度です。一般財団法人新潟県建設技術センターの試験部はこの制度に基づいてJNLA 登録されています。試験結果には、下の標章がついた試験証明書を発行することができます。
JNLA登録
登録試験項目は以下の通りです。
■コンクリートの圧縮強度試験
■コンクリートの曲げ強度試験
■骨材のふるい分け試験
■粗骨材のすりへり試験
■アルカリシリカ反応性試験(化学法)
■金属材料引張試験
■土の液性限界・塑性限界試験
当センターは、国際MRA(国際的な相互承認)対応認定事業者でもありましたが、平成24年12月1日から辞退しました。
耐震・劣化診断などのコンクリート試験
コンクリート構造物の耐震診断や劣化診断で多く行われる試験の何点かをご紹介します。
コンクリートコアの圧縮強度試験
硬化コンクリート中の塩化物イオン濃度測定
コンクリートの中性化深さ試験
建設材料試験に関してのお問い合わせは下記よりお願いいたします
新潟本所
長岡支所
佐渡支所
【受付時間】
月~金 午前 8:30~12:00 / 午後 13:00~17:15
【休業日】
土日・祝日・年末年始休日・夏季休日
コンクリートの圧縮強度試験及び曲げ試験、土の⼀軸圧縮試験は、上記の休日期間も実施しております。
詳しくは『コンクリート試験 土の⼀軸圧縮試験の休日対応』のページをご覧下さい。